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「第8回 正しく伝わる警告ラベルのデザイン(Part 4)」

2020年8月21日発行

第8回では、「文字メッセージ」について説明します。文字メッセージは、第2回で説明した残留リスクに対して、危険の種類、内容および回避方法をラベルに記載します。ユーザーがパッと見て理解しやすいように、簡潔な表現を使用します。

 

文字メッセージ

■ メッセージの要素

文字メッセージは、ユーザーに対し、危険の種類を示す「危険種別」、危険な状態が発生した場合の「想定結果」、危険を回避する方法を示した「回避方法」を伝えるものです。警告ラベルの貼り付け意図を明確に伝えるために、適切な語句を選択する必要があります。

また、文字メッセージは、最も重要な情報を一番上に記載することが望ましいとされています。そのため、「危険種別」を一番上に記載するとは限らず、状況に応じて「回避方法」を一番上に記載する場合もあります。ここでは、具体的な例を挙げて説明していきます。

「危険種別」を一番上に記載する場合
ユーザーが危険を回避する前に、まず危険の種類をユーザーに知らせた方が良い場合は、「危険種別」を一番上に記載します。これは、文字メッセージを読んでからでも、危険を回避する時間的余裕があることが前提条件となります。例えば、指や手を損傷する危険があるときは、まず機械を止めればよいと分かるため、理解してから行動するまでの時間的余裕があります。

「回避方法」を一番上に記載する場合
ユーザーが危険な状態にさらされる前に、危険を回避した方が良い場合は、「回避方法」を一番上に記載します。これは、文字メッセージを読んだ後、すぐに回避方法に従う必要があることを前提条件としています。例えば、保護めがねを着用しなければ、すぐに目を損傷してしまうため、文字メッセージを理解した後、すぐに行動してもらう必要があります。

もし、スペースの制限などがあり、警告ラベルに全ての文字メッセージを入れることが難しい場合は、ユーザーが「危険種別」「想定結果」「回避方法」を容易に想定できるかどうかを考慮します。もし、ユーザーが想定できる状況であれば、文字メッセージを省略できます。ユーザーが想定できない状況であれば、取扱説明書を参照することを示すシンボルマークや短い文字メッセージを入れて、取扱説明書をよく読んでから作業を行うように指示します。

他にも以下のような条件がそろっていれば、ユーザーに危険情報を伝えることができると判断され、文字メッセージを省略できます。

  • シンボルマークだけでも、文字メッセージの内容が十分に伝えられること
  • ユーザーに対する安全教育(トレーニング)を実施し、十分に注意喚起できること
  • 警告ラベルの内容を補足するための安全指示標識が、別の場所に貼り付けられていること

■ メッセージの内容

文字メッセージに記載する情報は、簡潔で、読んで理解しやすいものにする必要があります。そのため、文字メッセージの文体(スタイル)は、以下の表のように、能動態を使用して断定的な表現をしたり、行動を示す動詞を使用したりして、直接的な表現をしたりするなどのルールを考慮します

その他にも「1つの文には1つの指示だけとする」または「関連する少数の指示だけを記載する」など、冗長な表現にならないように注意します。

限られたスペースと文字数で、かつユーザーに正確な情報を伝えるための文章を考えていく作業は容易ではありません。テクニカルライターやコピーライターなど、日本語のライティングに携わるプロフェッショナルと共に文章を検討していくことが早道ともいえます。

■ メッセージの構成

文字メッセージの内容が固まったところで、読みやすさを高めるために、メッセージ区画内の配列やフォントなどの構成を検討していきます。

メッセージ内容の分割
文字メッセージは「危険種別」「想定結果」「回避方法」といった項目別に分割し、配列します。空白行の挿入や箇条書きなどを使用すると、見やすくなります。

メッセージの行端ぞろえ
文字メッセージは全て左端にそろえます(ただし、1行で済む場合は例外となります)。左端にそろえると、次の文を追うときに目線が自然と移るため、読みやすくなります。

フォントの種類
日本語であれば、判読性を考慮し、ゴシック体の使用が望ましいとされています。英語であれば、文字メッセージの字体を大文字と小文字を組み合わせた、サンセリフ体の使用が望ましいとされています。

フォントのサイズ
視認距離を考慮し、適切なフォントサイズを決めます。上記の例のように「危険種別」である「駆動部有り」を強調したい場合は、他の文字メッセージよりもフォントサイズを大きくします。

本連載の内容は、文字メッセージとして定められている内容の一部を抜粋したものです。詳細については、製品を使用する国や地域で定義されている規格書によって異なります。

次回は、「警告ラベルの構成要素であるフォーマット」について説明します。

 

 


(参考文献)

  • 『ANSI 安全標識・警告ラベル基準』ANSI Z 535シリーズ 2011年版

この連載記事は、お客さまの警告ラベルへの理解を深め、ご活用いただくためのものです。この内容に基づいて生じた事故や損害について、当社は一切の責任を負いません。あらかじめご了承ください。