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「第6回 正しく伝わる警告ラベルのデザイン(Part 2)」

2020年6月22日発行

警告ラベルは、パッと見た瞬間に内容を理解できることが重要です。そのためには、各規格で定義されている基準に沿ってラベルを作成することが第一歩となります。ここからは、一般に要求されている概念を基に、ラベルの構成要素について一つずつ解説していきます。まず第6回では、「シンボルマーク」について説明します。

 

シンボルマーク

シンボルマークは、警告ラベルの中で特定の安全メッセージを伝えるために使用する図式表現です。基本的には外形と記号を組み合わせて表現しますが、「禁止」の外形(後述)は単独で使用されることもあります。

■ シンボルマークの外形

シンボルマークの外形は、『SEMI S1』で「記号の周囲に配置される幾何学図形で、安全情報を補足するもの。」と定義されているように、色や形によって安全情報の伝達を補足するものです。外形は規格によって種類が異なりますが、警告ラベルで使用する外形は以下の3種類になります。

①「危険」の外形

潜在する危険があることを示します。
黄色い三角形と黒い帯状の三角形で構成され、記号は黒色で表示します。

②「禁止」の外形

起こしてはいけない行動または中止しなければならない行動があることを示します。
赤い斜線が入った赤い帯状の円形で構成されます。
記号は黒色で表示し、赤い斜線の背後に配置します。

③「強制」の外形

潜在する危険を回避するために取るべき行動があることを示します。
青く塗った円形を使用し、記号は白色で表示します。

外形の寸法や色、縁取りについては、各規格書によって細かく定められています。

■ シンボルマークの記号

シンボルマークの記号は、『SEMI S1』で「危険源、危険源に携わる場合に起こりうる被害、または危険源から回避する方法、またはこうした概念の組み合わせの抽象的あるいは具象的な図式表現」と定義されているように、言語から独立して視覚的に認識できる図形によって安全情報を伝えるものです。シンボルマークの外形で大枠の内容を伝え、記号で具体内容を示すというように捉えてください。

例えば、それぞれの外形に記号を入れると以下のようになります。

①「危険」の外形に入る記号

危険な箇所や行為に対する警告や安全義務を怠ることにより、危険が起こる恐れへの注意などを示します。 例えば、上記の図では電気的な危険があることを警告しています。
なお、マークは、身体に対する傷害の潜在的危険を示す安全警告記号とされ、この後説明する「シグナルワード」の左側にマークを配置します。

②「禁止」の外形に入る記号

起こしてはいけない行動または中止しなければならない行動といった、危険な行動の禁止を示します。 例えば、上記の図では(警告ラベルが貼られている箇所に)触れることを禁止しています。

③「強制」の外形に入る記号

危険を回避するための、作業に関する指示または修理・故障の場合の対処などを示します。 例えば、上記の図では取扱説明書を参照することを指示しています。

■ 記号は規格書から探す

シンボルマークに使用する記号は、それを見たほとんどの人が、記号の持つ意味について同じ認識を持つものでなければなりません。

例えば、「障害物によるつまずき」を、シンボルマークで表すことを想定して考えてみましょう。
下記の図では、左右どちらも「危険」の外形を選んでいるところまでは良いのですが、右の記号に比べて、左の記号は「進入注意」や「安全靴を履く」という意味にも捉えられ、本来伝えたかった「障害物によるつまずき」を表せていません。

右の記号は、『ISO 7010』にある“W007-Warning: Floor-level obstacle”を使用しています。ISOなどの国際規格では、『ISO 9186 図記号-試験方法』に基づいて、記号の理解度試験が実施されています。理解度試験の結果、“正解が85%以上、かつ重大な取り違いが5%以下”と判断された記号だけが国際標準となっていることもあり、最も正しく伝わる記号だといえます。

もちろん、どの規格でもオリジナルの図記号の作成は認められているため、独自に作成しても問題はありませんが、その場合は適切な理解度試験を実施し、誤認識が最小限であり、安全上使用しても問題が無いという証明をメーカーサイドで行う必要があります。しかし、現実には理解度試験に対する予算や時間をかけられないと思います。

そのため、ISOの場合、『ISO 7000』(機器装置):4954種類、『ISO 7001』(案内):168種類、『ISO 7010』(安全):214種類といった国際規格に登録されている記号の中から、該当する意味合いのものを探します(登録数は、2018年10月時点)。なお、業界のルールや使用国によって、記号の適用規格は異なります。

■ 規格書による記号の違い

規格書による記号の違いについて見る前に、その記号がどのような試験を経て標準化されるかを見ていきましょう。

警告表示の記号を標準化する場合、理解度および視認性などの試験が行われます。
ISO、JIS、ANSI、GBでは、以下のような試験要求規格があります。

・『ISO 9186-1:図記号-試験方法-第1部:わかりやすさの試験方法』
・『ISO 9186-2:図記号-試験方法-第2部:試験知覚品質の方法』
・『ISO 22727:図記号-一般案内用図記号の作成及びデザイン-要求事項』
・『JIS S 0102:消費者用警告図記号-試験の手順』
・『ANSI Z535.3:安全記号基準』
・『GB/T 16903.2:標識用図形符号表示規則 第2部:理解度測定法』

理解度試験は、規格によって選択方式、自由回答方式(対面調査形式または記述形式)、比較方式などに分かれています。より精度を求めるために、予備試験を経て最終試験を行う場合もあります。ラベルをよく見る対象者を中心に、幅広い年齢層から規定以上の人数を集め、アンケートや試験を行い、表示内容の妥当性を分析した結果、基準以上の理解度および視認性を得たと判断された記号が新たに標準化されます。

ここで注意すべき点は、理解度試験を通っている記号でも、規格によってデザインが異なるということです。そこには、文化背景の違いも関連します。

<例1:感電を表す記号>
感電を表す記号は、『ISO 7010』では“W012-Warning: Electricity”として、使用が正式に認められています。ところが、『ANSI Z535.3』では左の記号が抽象的であると判断され、劇的な行為(潜在的に危険な動き)を描写している記号を使用することが定義されています。これは、米国では抽象的なシンボルマークをあまり受け入れない傾向があるためだと考えられます。

<例2:禁煙を表す記号>
禁煙を表す記号を『ISO 7010』の”P002: No smoking”と『GB 2894』の”1-1:禁煙”で比較してみましょう。どちらも、たばこから煙が出ている記号ですが、ISOが抽象的であるのに対し、GBは絵画的な描写になっています。意味は通じますが、記号の表現に大きな違いが出ています。

<例3:武器および模擬武器の携帯禁止を表す記号>
文化背景の違いによって、日本では考えられない記号が存在する場合があります。例えば、『GB 2894』の“1-37:武器および模擬武器の携帯禁止”は、日本ではめったに見掛けない記号です。

このように、国や地域によって規格に対する考え方が異なるため、新たに警告ラベルを作成する際は、使用国の文化背景も調査し、考慮する必要があります。

次回は、「警告ラベルの構成要素であるシグナルワード」について説明します。

 


(参考文献)

この連載記事は、お客さまの警告ラベルへの理解を深め、ご活用いただくためのものです。この内容に基づいて生じた事故や損害について、当社は一切の責任を負いません。あらかじめご了承ください。